宵闇
母性。
アナタはいつも優しい。

泣いているアタシの傍にいつも寄り添ってくれる。

『どうした?』

アタシの泣き顔を見て、最初に言う言葉。

アタシは、アナタのその『どうした?』が好きだ。

アナタが抱きしめてくれる時、

アタシはひとりじゃないんだと実感した。

ひとりじゃない・・・。

アナタが傍にいてくれる。

そう・・・もうひとりじゃない。

アタシはいつも抱きしめられるたびにそう思う。。

アナタに抱きしめられると、

まるで母親が愛情を持って接してくれているように感じるから。

愛を感じたことなく育ったアタシは、どれが愛なのかわからない。

ふんわりとした温かい気持ち。

包まれるような感覚。

これが愛っていうものなんだろう・・・と。

少し思う。そしてアナタはこれが『愛』なのだと教えようとしてくれている。

アタシは、アナタからもらえる愛に幸せを感じていた。

アナタの愛は母性。

マリアさまのような感じ・・・・。

アタシをそっと優しく包み込んでくれる。

海でふわふわ漂っていても、

必ず溺れないというような安心が保障されているような感じにも似ている。

アナタに抱きしめられるとアタシは安心したかのように泣き止む。

まるで、迷子になった子どもが母親を見つけて安心するのと一緒だ。

今日もまたアナタは泣いているアタシを見て、

『どうした?』と優しく問いかける。

アタシはほっとした顔でアナタを見つめる。

優しい言葉と温かい手がアタシのカラダを包み込んだ。

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