コーヒー溺路線
 

車内には相変わらずゆったりとしたバラードが流れている。
和人も俊平も沈黙のままだが、コンビニエンスストアへ立ち寄ることにした。
 

コンビニエンスストアに到着すると俯く俊平は和人に降りろと促された。
重い足取りで俊平は車から降りた。
 


 
「いらっしゃいませ」
 


 
自動ドアから店内に入ると和人も俊平も身震いをした。店内は冷房がよく効いているらしい。
 

和人はパックになって売られている粉末状のココアや、缶ビール、それから少しの惣菜を選った。
俊平はそんな和人をただ見ている。
その俊平の視線に気が付いた和人は溜め息を吐くと、俊平にココアのパックを渡した。
 


 
「ほら、お前、ココアが好きだろう。他にまだ何か欲しいものがあるなら早く選べよ」
 

 
「……」
 


 
ココアのパックをじっと眺めている俊平はこくりと頷いて、スナック菓子を少しだけ選んだ。
そんな俊平を和人は困ったように笑って見ていた。
 


 
「千五百四十円になります。ありがとうございました」
 


 
どうやら女子高生がアルバイトとしてこのコンビニエンスストアのレジ打ちをしているらしい。
棒読みに聞こえる接客の言葉とは裏腹に、手際がよく嫌悪感はない。テキパキと動く様はなかなか好感を持つことができた。
 

袋を小さく揺らしながら和人に続いて俊平が店内を出る。和人が車の鍵を開けると、俊平は助手席に乗り込んで買った物が入っている袋を膝の上に乗せた。
 

外はもう真っ暗で、月は雲に隠れている。
 


 
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