コーヒー溺路線
その車が和人の暮らすアパートへ到着したのは午後八時頃だった。
俊平はただ和人に誘導されるままにアパートの和人の部屋へ通された。
「暑いだろうけど少しの間我慢をしろよ」
慌ただしく和人が玄関で革靴を脱ぐ。俊平もそれに倣って革靴を脱いだ。
俊平は何度か和人の部屋に来たことがあるので居心地が悪いということはない。
俊平はいつものように硝子テーブルの前に腰を下ろした。和人は冷房のスイッチを入れると、コンビニエンスストアで買ってきた物を持って台所に行った。
「先に飯食うぞ」
「……はい」
ここでようやく俊平は声を出して頷いた。和人は俊平を一瞥してから、袋の中の惣菜を取り出して皿に盛った。
どれも酒の肴になりそうな物ばかりで白米に合いそうな惣菜ではないが、腹が減れば買い溜めをしてある即席カップラーメンを食べようと和人は思っていた。
その間俊平はネクタイを指で緩めてからテレビをつけ、それを眺めていた。
「あ、俺九時から始まるドラマは毎週見ることにしているからバラエティー番組はそれまでだぞ」
強い口調と愛嬌のある性格を持ち合わせている和人を、俊平はとても慕っている。