妖怪外伝百鬼夜行
「狭……っ」
ぼそりと呟く声が響いて聞こえてくる。狭く暗い天井裏を懐中電灯一つで探した。
鏡、布団、雑誌、服、照明。などなど、日用品が狭い場所に置かれていて、生活をするうえでは一応困らない程度の設備がなされていた。
そして陽はあるものを見つけた。
一枚の写真。
阿弥樫高校の制服を着た少年と少女が写っている。
少女は千夜と似通った顔をしており、おそらくは小夜子だろう。
少年は……
「嘘……っ」
穂村由月を思わせた。
千夜に確認をとったところ、確かに少女の方は小夜子だそうだ。
そしてそれに一緒に写る少年は、どう見ても穂村由月そのものだ。
「じゃあ、ゆず先生がお姉ちゃんを?」
「まだ断定はできないが、可能性は……」
信じられないという表情の千夜に烏丸は声をかけるが、すぐに声を止めた。
足音が響く。こちらへと近づく二つの足音。
すぐに四人はそれぞれ個室に隠れた。
カツカツ――
足音はとうとうトイレの中に入って、一番奥の個室まで向かう。
そして二つとも立ち止まった。
「……そろそろ、寝ろよ。夜も遅い」
聞こえてきた声はまさしく穂村由月の声だった。もう一つの足音に声をかける。
「ねぇ、やっぱり家には戻らしてくれないのかな?」
「ダメだ。小夜子、ここにいろ。俺の目の届くところから、絶対に離れるな」
「……」
小夜子と穂村の会話。その会話を聞いているうちに、千夜は感情を抑えきれなくなった。
小夜子に会いたいという感情。
小夜子を閉じ込めた穂村に対しての怒り。
「家族なんて、お前にはもう必要ないから」
――ブツン
何かが切れる音がした。
そして、千夜が個室から飛び出した。