二 億 円

話の内容は実に面白みがありました。


刹那さんには五歳年上の塾講師の彼がいた。


出会いは中学時代通っていた塾。


ありきたりな 恋愛。



しかし、彼は周りからしたら狂っているとしか言いようが無かったでしょう。






「その時付き合っていた彼…ちょっと、と言うかかなり可笑しくなっちゃって…。」


「浮気や性癖ですか?そんなことじゃ驚きませんよ。」



「……性癖、の類に入るのかな。刹那、度々プレゼントを貰っていたらしいの。」


アクセサリーや洋服?

と私も普通の考えを巡らしていました。



「初めて貰ったプレゼントは深紅の口紅。

別に普通に感じるでしょう?化粧品を贈る男性はいるもの。


次に貰ったのは、髪飾り。
着物に似合いそうな、和風の髪飾りだった。


次に貰ったのは、漆黒の着物。深紅の帯がとても冴えていて、確かに刹那には似合っていたわ。

でも、今時…着物をプレゼントなんて…ちょっと、気味が悪かった。刹那は別に着物が欲しいなんて思ってもいなかったし…。

なんだか、彼が刹那をお人形みたいに思っている気がしたの。」


私と同じ 心境の持ち主。


思わず口元が弛みました。


「それから彼はどんどん可笑しくなっちゃって…刹那を自室に軟禁までしたのよ。」


「刹那さんは…逃げ出さなかったのですか?」


監禁でないのなら、逃げ出すことは困難では無いはず。


刹那さんが逃げる意志があるか ないか 。


< 141 / 156 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop