God of Death
 伏せられた長い睫毛、少しピンク色に染まった頬、差し出される形の良い唇。さっきまで、残酷な話を楽しそうに語っていたとは思えない、人間らしい表情。普段、人の魂をずばずばと運んでいることがまるで嘘の様な、女の子の表情。

 アイトは、普段半分しか開いていない瞳を更に細めた。決して閉じはしない。


 そして、そっと唇を重ねる。

 その瞬間、アイトの唇からメグミの温もりの全てが伝わって来る様で、世界ががらりと変わってしまう様な錯覚に捕われる。
 死神としては、キスすること自体おかしな話だが。

 まるで、明けない夜が明ける様な、やまない雨がやむ様な___。
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