Love Water―大人の味―




すぐ目の前にかかる吐息。



一瞬で顔が熱くなる。



部長にお姫様抱っこされたあたしは、酔いでうまく動かない身体をそのまま部長の部屋へと運ばれた。



「あ、あのっ……」



ゆっくりとソファーに下ろされた身体。



慌てて顔を上げると、部長は足元にしゃがみ込んであたしの足に触れる。



びっくりして思わず足をひくと、部長が咎めるような目を向けてきた。



「靴脱がせるから」



「へっ…」



部長に言われて、土足で彼の部屋に上がり込んだことに気づく。



顔から一気に血の気がひく。



「す、すいません。あたし土足でっ……」



早口で謝ると、彼は無言でヒールを脱がせる。



その俯き加減が、なんともなまめかしく感じるのは、まだ酔いがさめていないからだろうか。



両足からヒールを抜き取った部長は、その急な角度を目にして眉を寄せる。



「なんでこんな高いヒール……」



彼の呟きに、さっと顔を赤らめる。




< 18 / 102 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop