Love Water―大人の味―
すぐ目の前にかかる吐息。
一瞬で顔が熱くなる。
部長にお姫様抱っこされたあたしは、酔いでうまく動かない身体をそのまま部長の部屋へと運ばれた。
「あ、あのっ……」
ゆっくりとソファーに下ろされた身体。
慌てて顔を上げると、部長は足元にしゃがみ込んであたしの足に触れる。
びっくりして思わず足をひくと、部長が咎めるような目を向けてきた。
「靴脱がせるから」
「へっ…」
部長に言われて、土足で彼の部屋に上がり込んだことに気づく。
顔から一気に血の気がひく。
「す、すいません。あたし土足でっ……」
早口で謝ると、彼は無言でヒールを脱がせる。
その俯き加減が、なんともなまめかしく感じるのは、まだ酔いがさめていないからだろうか。
両足からヒールを抜き取った部長は、その急な角度を目にして眉を寄せる。
「なんでこんな高いヒール……」
彼の呟きに、さっと顔を赤らめる。