Love Water―大人の味―
だってそれは。
それは、彼に会うために。
いつもと違ったあたしを見て欲しくて頑張ってはいたの。
そして、何か変化を起こせば彼はあたしから離れていかない、って勝手に考え込んで。
フレアのミニスカートも、明るめのトップスも、高いヒールも、全部彼に見てもらうために。
離れるのが、怖くて。
外見を少し変えたくらいで、彼の心があたしに戻るなんてこと、浅はかすぎて笑える。
それでも、なにかせずにはいられなかったのだと、気づいたのは1人で飲み始めてから。
「………から」
「え?」
「彼に見て欲しかったの!あたしは、あなたが好きだって、ずっと好きだって……分かって欲しかったから」
思わず怒鳴ってしまったあたし。
しかも上司に。
だけど、そんなのどうでもいい。
あたしは、彼と、
別れたくなかった。