Love Water―大人の味―
虫歯って……。
あたしは何歳ですか、と心の中で部長に問う。
ことり、と音をたてて置かれたカップの中で、真っ黒な液体が揺らいだ。
とりあえず机の角を挟んで、部長の斜め右前に座る。
部長はといえば、あたしから受け取ったケーキの箱を早速開けてそれを取り出した。
「おまえ……一体何個買ったんだ」
次々とあたし達の前に並べられていくケーキの数は全部で7つ。
選び出したらきりがなかったのだ。
「俺は7つも1人で食べるところだったのか」
そう言いながら、あたしの目の前のお皿にケーキをのせていく。
だから、慌ててその手を押さえた。
「部長!あたしはいらないですから!
第一これは部長にあげたものです。あたしが頂くわけにはいきま……」
「俺がやるって言ってんだから、おとなしく食え」
あっさり却下されてしまったあたしの言い分。
しかも、目の前にあるケーキは4つ。
(あたしの方が多い……!)