Love Water―大人の味―





「どうして泣くんだ」



「わかんないです……」



ぼろぼろと溢れるそれは、何を思って流す涙なのか。



彼か部長か、両方か。



周りから見たら、男に泣かされてる女の図……ってとこかな、と頭の隅で考える。



だから、部長があたしの手を引いて駅を出ても抵抗しなかった。



さすがに泣いてしまっては、あの場所に居づらいし。



周りの人は、好奇の目で見ていたのかな。



涙を止めようと頑張って堪えれば、だんだん洪水はおさまってくる。



代わりにクリアになる視界には、部長の大きな背中。



……あぁ、流されちゃったな、と繋がれた手を見つめて思う。



結局、あたしの気持ちがあやふやだからこんな状況になってしまったのだ。



というより、あたしが彼にフラれたのを知っていて、食事に誘う部長が悪いのだけれど。



だんだん冷静になりゆく頭で、彼に対して怒りが湧いてきた。



一体、どういうつもりなのだろう。




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