Love Water―大人の味―
すっ、と通り抜けて部長のところに行くと、彼が僅かに微笑んだような気がした。
そのまま部長のあとを追ってエレベーターに乗る。
すぐにドアが開いてそれに乗る。
ドアが閉まるまで、エントランスの方は一度も振り向かなかった。
―――――――――……
3階の企画部のフロアに人影は見られなく、矢野君が最後だったらしい。
少し薄暗いそこは、心なしか肌寒い。
「……………」
無言のあたし達。
黙々と歩く部長の斜め後ろをあたしはついていくだけ。
ふと彼の左手を見れば、さっきからカサカサと音を立てているコンビニの袋。
まさかね……と思いながら部長をチラ見する。
するとその瞳に目ざとく気づいた部長。
「なんだ?」
「えっ!? ……いえ」
まさか気づかれると思っていなかったから、びっくりしてしまった。