Love Water―大人の味―




すっ、と通り抜けて部長のところに行くと、彼が僅かに微笑んだような気がした。



そのまま部長のあとを追ってエレベーターに乗る。



すぐにドアが開いてそれに乗る。



ドアが閉まるまで、エントランスの方は一度も振り向かなかった。




―――――――――……




3階の企画部のフロアに人影は見られなく、矢野君が最後だったらしい。



少し薄暗いそこは、心なしか肌寒い。



「……………」



無言のあたし達。



黙々と歩く部長の斜め後ろをあたしはついていくだけ。



ふと彼の左手を見れば、さっきからカサカサと音を立てているコンビニの袋。



まさかね……と思いながら部長をチラ見する。



するとその瞳に目ざとく気づいた部長。



「なんだ?」



「えっ!? ……いえ」



まさか気づかれると思っていなかったから、びっくりしてしまった。




< 88 / 102 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop