Love Water―大人の味―




「そのコンビニの袋、何かなーって……」



驚いた拍子に、思わず聞いてしまう。



「あぁ…」



そう呟いた部長は手近なイスに座って、あたしを近くに座るように促す。



大人しく彼の隣のイスに座った。



……他の社員の席。



静かすぎる社内に、今さらながらに部長と2人きりだということを思い出した。



「本当は、ちゃんとした店で食べる予定だったが……。

何しろ、連れていく相手に拒まれて、あげく、泣き出されたらな」



「あっ………」



そういえばあたし、部長の食事を断ろうとしてて……。



矢野君のことがあって、うっかり忘れてしまいそうになっていた。



「す、すいませんっ!せっかく誘ってくださったのに……」



慌てて部長の方を向いて謝る。



上司の誘いを断ろうとしていた自分に、血の気が引く。




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