I will be with You
・・・結構前の話だ。
キャスターが声を張り上げるようにして、視聴者に言葉を放っている。
DJが緊急の速報を、ナイスボイスで読み上げている。
皆の姿が焦っているに見える。テレビを見て、私は初めて“そのこと”を知った。
そのニュースを見てすぐ、私は部屋のベランダに出た。
「あっ・・・!」
数え切れないほどの「星」が落下していく。
光り輝き、そしてどこかへと消えていく。その星々の中には、
奇妙に遅く落下していく星もあった。
「あれは・・・“隕石”・・・!」
宇宙から飛来した石。それが隕石。
大気圏を抜けてくるまでに燃え尽きる隕石が多い中、ある程度の
大きさを持つ隕石だけが大気圏を抜け、そして地球の大地へとぶつかろうとしていた。
まるで意志を持っているかのように、向かってくる。
バスケットボールの大きさまで小さくなった隕石が、自分たちのいる
場所とはかけ離れている場所で落下する。短時間ではあったが、多くの物を
破壊した。海上に落下し、うねりをあげ渦巻きを形成することもあった。
だが・・・これら全て、次の瞬間には収まっていた・・・。
あの時の光景を、私は生涯ずっと忘れないであろう。あれ以来、隕石の飛来は一度もない・・・。
・・・結構前の話だ。
「だがあの日から今に至るまで、何とも言えない感覚が、私を取り巻いている。私はその原因が知りたかった。しかし、どうすれば良いものか、考えていた。
神秘的なものなのだろうか。そう思っていた時、全てのお―」
リビングルームから電話の音が聞こえてくる。
一気に脱力したような感じになる。賢志はしおりを本に挟み、下へ降りていく。
家には誰もいないので、電話は賢志しか出ることが出来ない。
非通知・・・?誰だろう。
「もしもし」
賢志ー!私だよっ!
久しい声が届いてきた。