史上最強お姫様の後宮ライフ覚書



しかし、リスティーヌが自分の立場を忘れてこの男を張り倒そうかとした、まさにその時だった。


「フューレ…やるなら自分の部屋でやれ。」


不意に若い男の声が聞こえたかと思うと、馬鹿王子はこれでもかと言うほど目を見開いて振り向いた。


そして、あっさりとリスティーヌから離れたかと思うと、先ほどまでとは全く違った純真な笑顔で「彼」の元へと走っていく。


「ランティスっ!うわ、久しぶり!」


主人に甘える仔犬のような表情で「彼」に抱きつく馬鹿王子。


その光景を見たリスティーヌは、最早、苛立ちも忘れてただ呆然とすることしか出来なかった。



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