パラワー『天才・原口龍太郎博士のエトセトラ』
「どうした? 流」


「蚊に刺されちゃって。でもホラ、仕留めましたよ?」


純一郎に手のひらを開いて見せる流。


「アッチに良さそうな沼が有る、フンッ」


龍太郎はレトロウィルスの探索に余念がない。


  ピピッ ピピッ ピピピッピピピッ


「あれ? 俺の名前の警告ランプが消えてるぞ」


  プゥゥゥ〜ゥン


純一郎の手の甲に蚊が一匹止まった。


「ん? こんニャロめ!」


  パシンッ


「あれ? 今度は流のランプも消えたぞ?」


また現れた蚊が、純一郎の耳元を掠めた。


  プゥゥゥゥ〜、フンッ、プゥゥゥ……


「フンッて変な羽音だな、フンッて。フンッ? あああっ! 駄目だ! 博士、逃げて!」


「なんだ、加瀬。フンッ、また霊でも感じたとか言うのか? 馬鹿馬鹿しい」


蚊はフラフラと頼りない飛行だが、確実に龍太郎に向かって飛んでいく。


< 90 / 100 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop