パラワー『天才・原口龍太郎博士のエトセトラ』
「違う博士っ! 早くっ、蚊が、博士になる筈だった蚊がそっちに!」


「フンッ、何を訳の解らないことを」


龍太郎は純一郎には構わず、採集器材の準備を始めた。

フラフラと飛んでいく蚊。ややくたびれてはいるが、龍太郎の首筋の皮膚があらわになっいて、匂い立つように誘っている。


  プゥゥ〜ゥゥン フンッ プゥゥゥン


「蚊が博士にとまる前に、俺が潰す!」


純一郎はオレンジ頭を振り乱し、全速力で駆け出していた。


「どうしたんですかっ、純一郎さんっ?」


「流っ! 蚊だ! 蚊を潰せっ!」


激しく唾を飛ばして純一郎が叫ぶ。


  ピピピッピピピッピピピピピピピピィィィィ────────


龍太郎に蚊がとまった。


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