屍の孤島
立ち上がり、顔を近づけ。

「む、むかつくわねアンタ!」

梨紅が鏑木を怒鳴る。

そんな彼女の態度などどこ吹く風。

背を向けて席に座り、鏑木は完全無視を貫く。

「何こいつ!悪いのはアンタの方でしょ!」

侮辱された事に怒り心頭で、梨紅はまくし立てる。

「ねぇ、そこのアンタもそう思うでしょっ?」

彼女が声をかけたのは、一つ隔てた席に座るショートカットの女子高生だった。

矢崎 夕映(やざきゆえ)。

慕っていた入院中の祖母との連絡がとれなくなった為、単身祖母の入院している陰島の病院へと向かっている途中だった。

夕映は梨紅の方を一瞥した後。

「……」

特に何を言うでもなく、再び視線を戻した。

「ちょっと、無視すんじゃないわよっ!」

梨紅ががなるものの、夕映はそれ以上彼女と関わろうとしない。

無口で無表情。

夕映は普段から誰に対してもこんな態度だった。

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