屍の孤島
「まぁまぁ」

険悪になった船内に、小野寺の声が響く。

彼は42歳。

この連絡船の乗客の中では最年長だ。

ここは年長者として、梨紅達をなだめなければならないと考えたのだ。

「彼女も良かれと思って言った事だから…それに君の言い分も正しいよ?大丈夫、ちゃんとみんなわかっているから」

眼鏡の下に柔和な笑顔を浮かべて。

小野寺は梨紅と秀一、それぞれに優しく語り掛ける。

「…フン」

どこか釈然としないものを感じながら、席に座る梨紅。

秀一もまた、小野寺に軽く会釈をして席に座った。

…船内に静寂が戻ったものの、どこかまだ険悪な雰囲気。

そんな船内に。

「井戸~水ぅ~いなぁすな~腐ぁれてぇ~死ぬぅる~♪」

民謡のような歌声が響いた。

リズムこそ陽気な感じがするが、歌詞そのものは物騒な印象を受ける。

歌っているのは、この連絡船を操舵する老齢の男性だった。

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