屍の孤島
言われてみれば不思議な話だ。

蟲の駆除に使われる花を食う蟲とは…。

この蟲の生命力と貪欲さに、秀一は戦慄すら覚えてしまう。

「ほんの数日前じゃった」

猟師は尚も語る。

「誰かがこの島の山奥にある地下水を、除虫菊の栽培に使ってしもうたんじゃ」

「地下水?」

秀一は眉を潜める。

…それは、この島に住む者しか知らない存在。

本来は保健所などに調査を依頼して初めて飲用などが可能な地下水だが、この島では昔…50年ほど前にその地下水を生活用水として使っていた。

それが『ある事件』をきっかけに地下水は使用を禁じられた。

以来、島民は誰も地下水に手を付ける事はなかったのだが…。

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