屍の孤島
鏑木に比べれば、秀一は『怖さ』がない。

自然、梨紅の態度もより横柄なものとなる。

「禁煙だから煙草吸うなってこのオッサンに言ったんじゃない。私の何が間違ってる訳?」

挑発的に胸を突き出して秀一を睨む梨紅。

秀一も負けずに言う。

「俺が言ってるのはその口の利き方だ。目上の人に対して何だよ、その言葉遣いは」

「何?オッサンってのが気に入らないの?オッサンにオッサンって言って何が悪いの?」

まるで反省する様子がない梨紅に、秀一もついつい語気が荒くなる。

「他人に文句を言う前に自分の態度を改めろ!」

思わず、秀一は梨紅を怒鳴ってしまっていた。

ビクッと震える梨紅。

直後…。

「怒鳴る事ないじゃない…」

ポロポロと、彼女の大きな瞳から涙がこぼれる。

流石の秀一もこれには慌てた。

「す、すまない…感情的になってしまって…怒鳴るつもりはなかったんだけど…」

両手で顔を塞いで泣く梨紅に、必死で謝る秀一。

そんな彼の様子を、梨紅は心の中で嘲笑していた。

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