幕末純想恋歌

夕餉の席にて。酒の席にて。

「ただいま戻りました。」

「おう、帰ったか。」

屯所に帰ってまず、土方の部屋へ向かった。

「で、どうだった…て、葵か?」

「はい、そうですけど……どうかしましたか?」

「えっ、あ、いや…。よく似合うじゃねぇか。」

「ありがとうございます。」

にっこり葵が微笑む。

「……っ!」

「可愛いでしょ、葵ちゃん。」

沖田が土方に囁く。

「あ、ああ。しかし、随分いい着物だな。金足りなかったんじゃねえか?」

狼狽えていたが、落ち着きを取り戻してきた土方が聞く。

「それはですね、美人は得だな~、ってことですよ。」 

沖田が楽しげに、でも適当に大雑派な説明をした。

「は?訳が分からん。葵、解説。」

「あ、はい。実はですね……。」

突然話を振られて少し驚いた葵が説明をし始めた。
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