遠い宇宙の果てで

机に並んでいる料理はとても豪勢なものであった。七面鳥やシーフードのパイ、酢豚にチャーハン、春巻、ローストビーフにホイコーロー、餃子、様々な種類のシチュー、などなど、地球にも存在いろんな国の料理が並んでいた。愛美はどれもこれも美味しく味わった。愛美は取り皿を用意し、ピノにはドッグフードが与えられていたが、お祝いということで少しだけピノにその料理を分けてあげた。愛美が食べることに夢中になっていると、ルビナスがそばによってきてピノの頭をなではじめた。
「はじめまして。あなたにもペットがいるのね。」
「うん、あなたの肩にいるのは竜みたいだけど。」
「あ、これ？」
ルビナスはライアを指さして言った。
「うん、竜の子供。私のお母さんが魔除けに、っていってバーティニっていう魔法商店街で買ってきたの。」
「素敵なペットだね。」
ルビナスは紫色の瞳を細めて嬉しそうににっこりほほ笑んだ。
「愛美ちゃんのピノも毛並が綺麗だし、とても賢そうな顔をしているわ。」
と言った。
そして
「もし魔法のことで困ったことがあったら私に言ってね、ウォールデンってちょっと小難しいこと言うから。」
と告げて席に戻ったかと思うとウォールデンとルビナスの隣りにいるウェッテルを連れて愛美のそばに再びやってきた。
「これ、全部魔法で動いてんのよ。」
「ご飯食べてんのに、もう。」
その宙を浮いているへんてこりんな人形がふくれて文句を言っていた。そんなことはさておきルビナスはウェッテルをつついて遊んでいた。愛美はそれを見てケラケラ笑っていた。
「僕は魔法で動いてるってよりか疑似魂をふきこまれているんだから、ほとんど人間と一緒なの。大切に扱いなさい。」
というガラガラで調子のおかしな声をあげてウェッテルは自分の席に戻っていった。
「人間だったらきっとブサイクね。」
と愛美に言い、ルビナスは席に戻った。

食事が終わり、愛美がピノを連れて部屋に戻ろうとすると、ウォールデンが愛美に近づいてきて小さな古紙の切れ端を渡しながら言った。
「明日の朝、7時に私の魔法部屋に来なさい。手始めに伝えたいことがあるんでね。」
おっとりとした静かな声であった。
「この紙は？」
「地図だよ。朝になればちゃんと地図になるからちゃんととっておくんだよ。」