禁断愛 母と悪魔の子


「見ていて、僕、凄い力があるんだ」


銀髪が揺れる。サファイアの瞳が引き込まれそうなほど綺麗で、長身なのに決して他人を見下さない優しい目つきにはあの人を思い返す。


どこまでも綺麗で、見惚れるほど美麗で、男らしさがあるウィリアムにそっくりな――



はっ、とし、何を考えているんだとキストに微笑んだ。


「力?」


「そう。見てて」


一歩前に出たキスト。

じっくりと岩を見ているようで。


――刹那、風を切る音。


しゅ、と刃物が振りおろされたぐらいのなめらかでいて、恐怖を覚える音は聴覚だけでなく、視覚にも怯えを生み出した。


岩が、切れた。


斜め一閃。
バターにナイフを入れたように、崩れる岩を見て私は一歩下がった。


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