禁断愛 母と悪魔の子
「キスト、あのね」
言いかけたのに、キストが抱きついた。
熱い包容だ。
包容力だってハンパなく、顔が高揚してしまう。
「僕はずっと母さんのそばにいる。この力を使って、母さんに近づくものを皆殺しに――」
「キスト……!」
さすがに聞き逃せない一言を聞いて、キストを押しのけようと――できなかった。
強い力。
強引と名のつく腕は私を離してくれない。
「キスト、もうその力は使っちゃだめ」
「なんで」
「皆殺しとか言うからだよ。人を殺すのは良くないことって言ったよね。昔いた悪魔は人を殺すから、人間たちの恐怖になったんだから。
父さんが封じた“悪魔”に、キストはなりたいの?」
「……」