禁断愛 母と悪魔の子


「キスト、あのね」


言いかけたのに、キストが抱きついた。


熱い包容だ。
包容力だってハンパなく、顔が高揚してしまう。



「僕はずっと母さんのそばにいる。この力を使って、母さんに近づくものを皆殺しに――」


「キスト……!」


さすがに聞き逃せない一言を聞いて、キストを押しのけようと――できなかった。


強い力。
強引と名のつく腕は私を離してくれない。


「キスト、もうその力は使っちゃだめ」


「なんで」


「皆殺しとか言うからだよ。人を殺すのは良くないことって言ったよね。昔いた悪魔は人を殺すから、人間たちの恐怖になったんだから。

父さんが封じた“悪魔”に、キストはなりたいの?」


「……」


< 15 / 89 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop