禁断愛 母と悪魔の子
包容の力が弱くなったので、彼を押しのけた。
あったのは今にも泣きそうな顔で、思わずこちらがおどおどしてしまう。
キストはただ私を守りたいだけなんだ。
戦うべき相手なんかいないというのに。
確かに世の中は危険がいっぱいだけど、身近に危険が迫ることなどめったにないだろう。
「キスト、分かって……?」
「母さんが分かってないよ」
なにを、という前に、キストに手を引かれる。
「風邪引くよ、ごめん、つき合わせて。母さんの言うとおりにこの力はもう使わないから」
安心して、と言われても腑に落ちない。
いきなり意見が変わるんだから、でも使わないと言うならキストは使わないでいるだろう。
分かっている。
キストはいい子だって。