禁断愛 母と悪魔の子
心優しい人だ。
飾りどころないこのくたびれた洋館に色をつけようとしてくださるのだから。
「ありがとうございます」
「い、いえっ、受け取ってもらえるならそれで……っ、じ、自分はこれで失礼しま――」
「母さん」
ふと、キストが現れた。
ひょっこりと顔を出して、コールさんと私が持つ花束を見て笑う。
「へえ」
笑うと言っても、目元がきつく、口だけが綻ぶ怖い表情。
なんだか怒っているような感じだ。虫の居所でも悪いのか。
「コールさん、こんにちは」
「こんにちは……」
「また母さんに花をくれるんだね、嬉しいよ」