禁断愛 母と悪魔の子
「お前は平気か」
逆に私の安否が問われた。
「私は平気だけど。何があったの?」
「いやな、街である事件が起こったんだ」
「事件?」
ハザマさんが頷く。
「今朝、“首だけの死体”が見つかった」
「首だけって……」
「言葉通りだ。首だけで、体がない死体。街では悪魔の再来だと騒いでいる」
「悪魔って、ウィリアムが閉じた“門”は閉まっているはずでしょう。悪さする悪魔なんているわけが……」
「俺とて信じられない。これから“門”の確認に行ってくる。……その前に、お前が無事か確認したくてな」
だからそんなに慌てているのかと納得がいった。
悪魔の再来。
昔、悪魔は人を食すため“首だけの死体”が多発した。
そのせいで街では騒いでいるんだろう。