禁断愛 母と悪魔の子
「どうかしたの?」
「ううん。何でもない。あがろうか」
手が離される。
振り返れば、どことなく寂しそうな我が子。
思わずぎゅーっとしてしまったのは母性からだろう。
「甘えっこキスト」
笑い話にでもしようかと思ったのに予想と反してキストは笑わなかった。
「……母さんが悪いんだ、それは」
抱きしめ返す腕。
やはりちょっと気恥ずかしい気分になる。
この展開にいつか――昔を思い出したのは言うまでもないけど、ウィリアムと違ってこの子は悲しすぎる気がした。
虚しさを埋めるような力強い抱きしめ方。
なんでこんなに“ひどく感じる”のか、私は知るよしもなかった。