禁断愛 母と悪魔の子
「早く帰ってきてね」
「キッチンに行くだけで遠出気分になるなぁ」
まったくと足早に私は寝室をあとにし、絨毯が敷いてある廊下をテクテク歩いた。
小さなこの洋館はウィリアムの住居だった。
人里離れ、周りは森しかない。端から見ればゴーストハウスに見えるかもだが、きちんと中は住めるようにできていた。
「あれ……」
キッチンに行けば、灯りがついていた。
ついで、ことことという音。
覗けば、長身の男の後ろ姿を発見した。
「ハザマさん」
呼べば振り返る人。
白髪に白い肌。
なのに顔から左肩まで彫ったタトゥーのせいで黒が目立つこの人は、ウィリアムの良き理解者であり。
「そろそろかと思ってな。ほら、ホットミルク」
私の理解者でもある人だった。