禁断愛 母と悪魔の子
「俺は悪魔でありながら、悪魔とは根本的に異なっている。お前の父、ウィリアムと同じように」
「ならば尚更、僕だってウィリアムの血が流れている。人を襲う悪魔ではない」
「だったら!」
更に距離をつめ、ハザマはキストの襟首をつかんだ。
「今、お前は。彼女に何をしている……!」
「……見てたのか。悪趣味だな」
「話をはぐらかすな。微かだが、間違いなくこの匂いは――」
喋る途中、キストが己を掴む手を振り払った。
「触るな、下等犬が」
ふん、と襟首を直しながらハザマを見下す。
「名を呼ぶ、僕に触れる。とんだ無作法者だな。ウィリアムの下たるお前がその血族に何をするんだ。立場をわきまえろ」
「立場など関係ない。いいか、リディアはお前の母親――」