禁断愛 母と悪魔の子
スパンと気持ちいいぐらいに入った手はふるふる震えていた。
初めてだった、キストを叩いたのは。
ずっといい子だったキストを私は一度も叩いたことはない。
それが今、音を立てて崩壊する。
殴られたキストは呆然と叩かれた頬に手を置いていた。
水の音だけが虚しく響く。ついで、はあはあとする私の息づかい。
「キスト、自分が何をしたか分かっているの……!人を、人を殺したんだよ、あなたはっ。分かっているよね、悪いことだって、いけないことだって!約束したでしょ、その力は使わないって……!」
並び立てた言葉が溢れ出る。
そのたびに私の涙がぽろぽろこぼれた。
「私は、キストをそんな風に育てた覚えはない。優しい子になってほしくて……毎日、接してきたのに」
大好きだよと無償の愛を捧げてきた日々。
崩れた今、私はキストにこんな言葉しか出してやれない。
「あんなことをしたキストなんか、大嫌い!」