禁断愛 母と悪魔の子
「っ、きす……」
「あ……」
一気に指の力が緩む。
その隙に酸素を吸ってごほごほやっていれば。
「ごめっ、ごめん。痛かったよね、苦しかったよね。大丈夫?」
私の肩に手をおいて身を案じてくる人は――先ほど、首を絞めた人とは別人のようだった。
「きす、と……」
「良かった無事で。……君が悪いんだよ、大嫌いだなんて言うから。俺には君しかいないのに」
誰だと疑いたかった。
口調も、情緒不安定そうな姿も、みんな私の知っているキストじゃない。
『自分を偽り』と先ほどキストは言っていて、『愛している』とも言って。
「まだ汚れてる。早く洗い流さなきゃね。服は捨てようか」
考えている間に、服を破られた。
思わず手を胸元に置くが、ビリビリ破られた服はただの布切れになる。
隠すものがなくなった露わな肌、それを見つめてキストは「はあ」と感慨深げなため息をついた。