禁断愛 母と悪魔の子
「泣かす?彼女が泣いているのは生ゴミどもが押し掛けてきたせいだ、俺のせいじゃ――」
キストの体を押しのけ、ハザマさんの体に身を預けながら泣いた。
「ハザマさん、ハザマ、さん……!」
「リディア……」
「っー、彼女に触れるな。彼女は俺の――ぐ」
と、唐突にキストが倒れ込んだ。
いきなり倒れたので驚くが、ハザマさんが「大丈夫だ」と付け足す。
「気絶させただけだ、しばらくは起き上がれないと思う……」
自分の着ていた外套を私に着せて、今度はキストに彼は頭を垂れた。
「すまない。すまない……」
ふるふると震える体は本気の謝罪だ。
「ハザマさんが悪いわけじゃない、よ……。キストが……うっ」
「話がある、リディア。浴室(ここ)を出よう」
泣く私をあやしてくれる彼。とても優しいながらも、切なく思えた指先に導かれ、私たちはキストから逃げるように離れた。