禁断愛 母と悪魔の子


(五)


「全部、知っていたって……!」


寝室。
ハザマさんから出た言葉は疑いたくなるものだったが、首を頷かれ否定される。


「知っていた……いや、確信を得たのは昨日だが、薄々は勘づいていたんだ。

……キストがお前を愛していること。コールを殺したことも」


「コール、さん、を……」


愕然とした。
キストが?コールさんを?


嘘だと言いたいが、先ほどキストがしてみせた殺人がある。


「なん、で」


唇が震える。


「あいつは……お前を愛している。それだけだ。お前に近づく男が目障りだったようだな」


「私の、せいで」


「それは違う……!」


「でも!」


叫んだ声を引く。
ハザマさんに怒鳴ったとこで何もならない。


キストが、コールさんを殺した。


理由がなんてことない――ただ私に近づいたからだなんて。


どこで育て方を間違えたんだろうと手のひらに爪をたてる。


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