月の恋
蒔騎が目の前で止まった部屋の障子を開けると中は宴会みたいに騒がしかった。
生綉姫は部屋に足を踏み入れたとたん…
本当にすぐに分かった、見た目はほとんど“人間”に近いがーーー
何コイツラ…?「何が」って訳じゃない……けど、うちの直感が「人間じゃない」って
何より、目を見たら分かる。
目が覚めたあの建物でもここにおる奴らもまるで“餌”のように見下すようにうちを見てる。
「姫、こちらへ」
蒔騎が今だ立っている生綉姫に声をかける。
生綉姫はゆっくり言われたとこに座ると蒔騎は「席を少し外します…」と告げ部屋を出て行った。
そのとたん…
「薄汚い人間だ」
「上手そうじゃないか」
「汚らわしい」
「何あの顔豚以下ね」
ーークスクスクス
きっ聞こえとんねん!なんやねんこいつら!わざとか!
蒔騎が居なくなったとたん口を開く妖怪達
ほんま妖怪って性格悪いんちゃうか…などと考えながら生綉姫は周りを見てみる。
すると…
部屋の一番前に小さな人だかりができていた。
何やいっちゃん前に人たまってんな…まぁ遠くてあんま見えやんけど…。
ーーパチ
ん?
今、人だかりの真ん中におる人と目合った?
まぁええわ…
そんなことを思いながら生綉姫は部屋の入口から反対側、障子が全て開けられて中庭が見えるようになっている方を眺めていた。