月の恋


中庭を眺めていた生綉姫に一つの声がかけられた。



「…おい」

だか、声をかけられた当の生綉姫は……


何か綺麗な庭やな見に行ったらあかんかな

声に気づかなかった…。



「おい」

ーーぼけ~


「………」



ーーーッグイ!

『ほぎゃ!な何すんねん!』


生綉姫は急に前から髪の毛を引っ張られて強制的に前を向かされる



『っ!!』


そして生綉姫の目の前に居たのは驚いてしまうほどの美形。


艶やかな黒髪に、鼻筋が通ってる鼻、形の良い唇、紅い瞳をもつ切れ長の目は一度合えば反らすことさえできない。


怖さすら感じてしまうその綺麗さに一瞬息をのんでしまう。




てかこの美形さんさっきいっちゃん前おらんかった?いつの間にここまで来たん?

つーか!つーか!さっきから会うん全員美形ってどーゆうこと?自分の顔にそないコンプレックスは無かったけど、こうまで美形ぞろいやったらちょっと凹む…

そんな凹んでるうちに


「貴様っ!長(おさ)に向かってなんたる無礼!このお方は鬼の中の王!お前ごとき人間がそのような口を聞くな!」


はぁ?口聞くな言うんやったら話かけんな。てか無礼ってなんやねん意味分からん


生綉姫は声がした方に顔を向けると



真っ黒な体に真っ黒な目。


よく「カァー」などと鳴く鳥の一種が今、自分の目の前で空中に浮かびながら怒鳴ってる。


えっ?

『カラスが喋った!!てか手、手がついてるー!』

これじゃまるであの妖怪カラス人間みたいやん!

「っな!この無礼者!長の目までもそらしたあげくこの私をカラスなどと!許さぬ!」

『はぁ!?目そらすってなんやねん!てかカラスにカラス言うて何が悪いんじゃ!』

カラスがまた怒鳴ろうとした瞬間さっきまで黙ってた美形さんがゆっくり口を開く


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