ラブトラップ
「そこで、一番人気のクレープ二つ。
 奢ってくれない?
 フェアじゃないって言われると困るから最初に値段言っておくと、一つジャスト千円ね」

「何よ、それ――」

クレープにしちゃ、高すぎない?


話についていけない私は目を丸くするばかり。
南は、得意げにくすりと笑う。

「実は、私の彼氏の斉藤智也、私に負けず劣らず甘党なんだよね」

お、急に惚気が始まっちゃった。

「――で?」

一歩引く私を気にすることも無く、南は話し続ける。

「で、その智也が、何を隠そう稲葉と同じ中学を卒業してるわけ」

「うっそっ」

私は思わず声を張り上げそうになって、慌てて口を押さえた。
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