ラブトラップ
「折角困っているようだから、助け舟出してやろうと思ったのに」

いつもの口調で美虎が言う。

「結構よ。
 美虎に助けてもらう必要なんてこれっぽっちもないんだから」

――入学早々、隣の席になったせいだ。

「可愛くないヤツ」

美虎がふわりと笑う。
この笑顔が曲者なんだ。

「知ってるでしょ?」

「素直じゃないね」

美虎がそっと手を伸ばす。
今度は、まるで壊れ物でも触るみたいにゆっくりと。

「アンタほどじゃないわよ――」

そうして、憎まれ口でも叩かないと、平常心が保てない私の――頭をその手がそっと触った。

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