ヘタレ男子の恋愛事情
図書館の中は暖房がついてて、
寒がりの僕はほっと肩の力を抜いた。

なるべく、さりげなく見えるように、
入ってすぐ右側のカウンターを見る。

彼女は返却作業中で、笑顔で男子生徒に利用カードを返していた。

僕には、多分、
気づいていない。

気づいて欲しい、ってわけじゃないけど。

何か期待してて、そのくせあきらめてるこの感じが、
僕らしくて、
馬鹿らしくて、

あぁもう、
鬱もいいとこ。


僕は頭を切り替える。


本来の目的は、彼女に会う為じゃないんだから。
やるべきことをやれよ、って。

頭の指示の元、
僕は目当ての本を探しに、奥へと歩き出した。



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