【短編】君に捧げる『物語』




昔々、とある世界のとある所に、ちょっぴり小さな王国がありました。


その国の王様は国民から凄く慕われていて、反乱も政治介入も無く、みんなが幸せに暮らすことの出来る、誰もがうらやむそれはそれは素晴らしい国でした。


そしてある日、誰もが待ち望んでいた可愛らしいお姫様が誕生しました。

けれど、みんなの期待とは裏腹に、その子は悪魔の子だったのです。



彼女が3歳の誕生日を迎えたとき、

大きなハリケーンが国を襲い、職を失い盗賊へと移る人たちが増えました。


彼女が6歳の誕生日を迎えたとき、

大型の津波が押し寄せ、国のほぼ半分の家屋と国民が流されました。


彼女が9歳の誕生日を迎えたとき、

王様が亡くなりました。


彼女が12歳の誕生日を迎えたとき、

原因不明の伝染病が流行り、国民の約半数以上が亡くなり、また隔離し、差別されるようになりました。

だけど、その時の王位は既に彼女です。
12歳の女の子がどうにか出来るわけもありませんでした。


彼女が13歳の誕生日を迎えたとき、

ついに王の座を争う人たちが出てきました。

彼女は沢山の人に命を狙われました。

だけど、彼女は殺せません。

だって、彼女は悪魔の子だから。


彼女が15歳の誕生日を迎えたとき、

今度は沢山の人が彼女を取り入れようとしました。

彼女を巡って戦争が起こったのです。


彼女は、不幸でした。


彼女は、このままではみんなを不幸にしてしまうと思い、自ら命を絶とうとしました。

だけど、何度試みても、死ぬことは出来ませんでした。


だって、彼女は悪魔の子だから。


彼女は不幸でした。



彼女が16歳の誕生日を迎えたとき、


彼女は、運命の人と出逢いました。





           』

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