時雨の奏でるレクイエム
「あ、それと」

「え、なに?まだ何かあるの?」

「そうじゃなくて、さっきまでどこ行ってたんだ?何分か前も呼んだんだが返事もないし、寝ているわけでもないようだし」

「あ、えっとね。オリビンとおしゃべりしてたの。旅の話をしたり、城での話を聞いたり」

そういえば、とクルーエルは思い出した。
なんとなく気になったあの羽飾りのこと。

「そういえば、オリビン羽飾りしてたの。服に合うものではなかったけど、すごく大事にしてた」

「羽飾り……?」

「うん。大事な子達に貰ったって、そう言ってたよ」

「それは、どんなものだ?」

「気になるの?」

「ああ。気のせいだと思いたいのだが、この予想が合ってると、とんでもないことが起きる、かもしれない……」

「それそんな大事なの!?え、えーっとね……蒼い綺麗な羽が2枚ずれて重なってて、この瑠璃みたいな小さな翡翠の玉が二つ、羽の根元にくくりつけられてたよ」

ラディウスが何かを考える素振りをする。
クルーエルははらはらとラディウスを見上げながらラディウスの言葉を待った。

「オリビンは、記憶の幻獣を呼び出せる、召喚士だ。それも、召喚術士とは比べようもない力を持っている、いわば上位種である召喚士だから、性質が悪い」

「…………へ?」

あまりに突然わかったことに、呆けた声を出してしまったのは許して欲しい。
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