放課後姫とヤンチャな騎士
「相変わらず本が好きねぇ♪」


剛志はしおりをはさむと、本を閉じた。


「…なぁ、いい加減帰ってこいよ。」


「嫌よ♪」


カウンター越しに明るい笑顔を見せる。


「梓…」


「お母様でしょ?」


「あのなぁ…」


呆れる剛志に、梓はクスリと可愛らしい笑顔を向けた。


長田梓(おさだあずさ)


旧姓は長門梓(ながとあずさ)と言い、剛志の六つ上の幼なじみ。


近所に住んでいた男勝りなお姉さんだったが、剛志が中学に上がると同時に祖父と結婚した。


『なんでじいさんと結婚したんだよ?』


剛志は少しだけ梓に恋心を抱いていた。


『そうねぇ…
剛介(ごうすけ)さんに惹かれたからかしら♪』


『あんなじいさんに?』
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