放課後姫とヤンチャな騎士

剛介はニヤリと微笑むと、二つめのみかんを剥いた。


「夫婦喧嘩に巻き込むなよな？」


「…まぁ、わしは年寄りじゃから仕方ないのぅ。」


こんな時ばかり年寄りのふりをする剛介に、剛志は静かにため息を着いた。



翌日、剛介はいつものようにコンビニに向かった。


店内には数人の客と、やたら目を引く女性がいた。


綺麗な髪が、店内の陳腐な蛍光灯の明かりさえ綺麗に吸い込んでいた。


店内の客につられて剛志も思わず目を惹かれたが、ふんっと息を吐いてから、いつものコーヒーを買いコンビニを出た。


コンビニ前の赤信号に引っかかり剛志が立ち止まると、さっきの女性が隣に立った。


剛志がチラリと横を見ると、美しい横顔が見えた。


『見たことない人だな…』


朝会う人は大抵同じなのに、その人は今日が始めてだった。