教室バロック



「 何が?
オマエもヒョウタン持つとか
似合い過ぎ 」


茶色いキモノをすでに着せてもらって
扇子を持ち、ドアに寄り掛かる姿は
『鴨』って感じだ



「 ん〜?

だってよ 俺、着方なんか
わかんないから
三野輪なんかに着せてもらったんだけど

…フツー女子高生が
あそこまでパッパパッパ
着物、着付けっていうのか?
出来ねえだろ? 」



「 そりゃあなあ…

この学校は一応、
小さい頃から
習わせられてるヤツ多いぞ 」



掛けておいた小豆色

坂本龍馬の
少し煤けたキモノを取り、袖を通す

これで髪を、ゴムで縛ったら準備完了



「 …って言いつつ
空哉も自分で着られるの?! 」


「 器用貧乏ですから 」


「 ―― ちょっと待てよ?
ってー事は…
正月、オシャレして来いよって女誘って、

…朝、お前の事呼べば… タダか 」



「 …テメエの発想はすぐそこかよ!!
びっくりしたわ!

それよりウチの学校で
カノジョ作ればいいじゃねえか

多分、自力で朝、着付け出来る確率
九割くらいあるぞ 」


「 おおおお!! そうだよな?!
やっべええええええ!!
夢が拡がり過ぎる!!」



クラスの男子がゲラゲラ笑って
「 バカ那智〜〜!! 」と
女子にガムテープやら軍手の
総攻撃を受けていた




修学旅行の一件から

那智はホントに花さんを心配していて
その姿をみてきたクラスメートの態度が

以前よりもだいぶ
緩やかになって来ていた





< 217 / 287 >

この作品をシェア

pagetop