教室バロック
" そんな理由かよ!! "と
ドッと観客が笑う満員の教室
オレの立っていた後ろのドア
暗幕の隙間から光が覗いた
「 …うわっ! 満員?! 」
「 お、桜井 」
「 …すごいウケてるね
ああああ 橘くんだ〜!! 」
「 もっと前行って見てくれば 」
「 う、うん!
ちょっと行ってくるね! 」
客の間に、体を滑り込まる桜井が、
ソロリソロリと前へと進む
照明の熱も手伝って、かなり暑い
「 まっ 真木…!!
もう出番終わっちゃった?! 」
次に入って来たのは比奈
「 後 10分くらいか 」
「 よ… よかった… 」
「 おい 自分のクラスいいのか? 」
「 …ちょっとズルして抜けて来た 」
肩をすくめて笑いながら、
前で手を振る、桜井の元へと進んだ
――― 比奈に、
桜井がいてよかったと思う
「 あっちい〜… 」
「 お! りっちゃんお疲れ!
好きなの持ってけ 」
「 …うっあ!
炭酸だめなの覚えててくれたの?
――― ありがとう真木〜!!
女なら嫁にするさあ! 」
「 バカこけ 早智子にも持ってけば 」
「 うん!!
真木ももう少しだから頑張って!
一瞬だけど、大混乱の布石だからさ! 」