いつかのMerry Xmas
――でも。

イチローはいつもこんな私を介抱してくれてるんだよね。

たまには私がそうしてあげなきゃいけないような気がして、いたむであろう彼の頭にそっと手を乗せた。

「大丈夫?」

小さな声で囁くのは、大きな声が頭に響くと知っているから。

「あんまり」

「じゃ、タクシー呼ぶから帰りなよ」

私はイチローが僅かに頷くのを確認して、その手を引っ張って立ち上がった。

独りじゃ絶対に抱えきれないと思っていたけれど、イチローは歩くことくらいは出来るようだった。

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