いつかのMerry Xmas
口を開く前にキスをされそうになって慌てて身を捩る。

「イチローっ。寝惚けてるの? ねぇ、まどかちゃん呼ぼうか?」

ものすごく間近に彼の整った顔があって、どうしていいのか分からなくなる。

ほんの数秒、眉間に皺を寄せて――。イチローはなんでもないことのように瞳を開けた。

「Now I know what a fool I've been
But if you kissed me now I know you'd fool me again」

そうして、綺麗に口ずさんだのは、ラストクリスマスの一部。

『馬鹿だったてことはわかてる。でも、君が今キスしてくれたら僕はまた騙される――』
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