いつかのMerry Xmas
「少し、静かにしてくれないかな」

殊更静かな声でそう言うと、こともあろうにイチローは急に私にキスをしたのだ。


――思わず、固まる。


「――ちょっと――っ」

驚いた私は力を振り絞ってイチローの腕から抜け出した。

それでも、唇に残る微かな感覚。

「煩いっ」

今度は本格的に怒って、イチローが身体を起こす。

「頭が痛いって言ってるだろ?」

「だだだだだ、だって――」
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