いつかのMerry Xmas
私はイチローに手を伸ばす。

その指が肩に触れた途端、彼はびくりと頬を引き攣らせた。

「ゴメン、イチロー」

そっか。
潔癖症の彼は、ちょっとした刺激にも敏感なのかもしれない。

「でも、こんなところで寝たら風邪引くよ?」

かといって、引きずっていくわけにもいかない。
そこまでの力、私にはない。


「じゃあ、あっためて」

まるで当然のことのようにそう呟くと、イチローは手を引っ張って私を倒した。
そのまま、その腕の中に抱き寄せる。


「――ちょっと――っ」

こここここ、これはいくらなんでも不適切な関係ってヤツじゃないかしら。

良くない、良くないよぉ。
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