いつかのMerry Xmas
「大丈夫。
 取って食ったりしねぇよ」

やれやれ、色気のないヤツだ、と言わんばかりのため息混じりの声が聞こえてきた。

「何よ、それ?」

「――震えるなってこと」

イチローの手が、私の頭をそっと撫でる。

「心配しなくてもいつもしているし、誰にも話してない」


――な、なんですって?

私の記憶にもないんですけどっ。

「だから、これも明日の朝になったら忘れてるよ」

「わわわ、忘れるわけ無いでしょ?
 私は素面なんだからっ」

「――はいはい」

イチローは言うと、起き上がってプレゼントをあさる。
< 72 / 83 >

この作品をシェア

pagetop